2023 年頭ご挨拶…というか所感…いや、雑感かも

新年あけましておめでとうございます。未だ続く流行病や戦争に、一刻も早く収まり穏やかな年となるよう祈るばかりです。

実業団駅伝、箱根駅伝、高校サッカー等の恒例スポーツは「お正月」を感じさせてくれるものです。お正月を象徴するアイテムのひとつではないでしょうか。(非常に主観的な感想です)。今年は規制がある程度緩和され、賑わいが戻ってきた感があり喜ばしいことです。

さて、今年を象徴する(だろう)もの。今更ともいえますが、業務的に電子化はどうでしょう。電子申請、電子契約、インボイスetc…。インボイスはどこもこれからとしても、民間企業では電子化対応など既に通ってきた道であることも多いかと思います。しかし、行政書士周辺は、ようやくといったところで、これから本格化です。

特にトピックは、今年から始まる建設業許可・経審の電子申請で、もちろん対応が必要です。当事務所(前身団体含め)の歴史をひも解いてみると、これまでも何度か節目があり、変化への対応が必要だったことがわかります。今から50年余り遡ると、大きなイベントは、建設業の登録制から許可制への移行です。なにしろ条件をそろえて確実に許可を取得してスムーズに事業を継続することが最重要課題であったことでしょう。そのため、確実に申請を通すためには、見やすい書類、きれいな書類、きちんとした書類を作るということが有効であり、主に手書きの時代は、それが専門技術ともされました。

時代が進み、特に平成に入りパソコンが普及すると、だれでも一律な書類を作ることが容易となり、見やすさ、きれいさは、アドバンテージではなくなってくるのです。とはいえ、きちんとした書類が作れるかどうかはまた別で、機械で作成する以上、求められるのは高い精度。よって、今度は、きれいに書けるということよりも、ミスのない入力スキルが必要になりました。

さらに建設業者は増え続けて平成11年頃にピークを迎えますが、会社ごとに多くのパターンが発生して、許可や経営事項審査の申請書に添付する裏付資料も複雑化していきました。そうすると、いかに正しい資料を集められるか(行政書士としてアドバイスできるか)ということの比重が高まってきます。きれいで見やすいということは、もはや当然で、きれいな書類とは、適正な資料が添付されて整合性のとれているものを指すというように、その意味するところが違ってきたように思います。

そして、今回は建設業許可・経審電子申請の開始です。過去、申請の電子化は入札参加資格登録で導入されています。電子化とともに、従来、省庁各機関や各行政庁(県・市町村)に対して個別の様式、別々の基準でばらばらに提出していたものが、国関係は一元受付、(神奈川県の場合)県と各市町村の多くが共同受付となりました。同じ情報を重複して記入することがなくなり、同一データを利用することで誤記等の単純ミスのリスクは大幅に軽減されました。添付書類もある程度共通化されて、手配枚数が大幅に減少しました。それまでの膨大な手間を考えると体感的な負担は10分の1といってもよいほどです。

話を戻すと、今回の建設業許可・経審の電子申請においては、既に押印廃止になっていることに加えて、書類そのものが不要になることは当然として、システム側で形式チェックが行われるので、単純ミスが減少します。人間がやる限り単純ミスは必ず起きるので、機械的に防止するのは大きいことです。しかし、あくまでも現状は形式チェックであり、内容そのものの妥当性については、まだシステムでは判断しません。ということは、AIが学習しないうちは、その重要な部分は人間が判断すべきで、行政書士としてもまだ勝負ができるところです。それだけに、判断があいまいで適正なものが作れず、申請が通ればいいという程度では、AIクンに簡単にとって代わられるでしょう。法律知識、会計知識、業界知識の習得ををおろそかにせず、いけるところまで対抗したいと思います。

かつての、見やすい書類、きれいな書類はさほど意味がなくなり、制度趣旨に則り整合性がとれている「きちんとした」申請をすることが、建設業に限らず、今後の許認可業務に残された道であろうと考えます。

ですが、負けてばかりもいられません。従来型の定型文書は、行政書士だけでなくAIクンがさらに得意とするところです。しかし、「きちんとした」と矛盾するようですが、ときには合理的ではない人間の判断を必要とする、定型的でない文書ではまだ勝ち目があります。また、法律の意味やビジネスの基本を理解のうえ、実際の状況に合わせて皆さんの悩みや疑問に答えるということにかけては、まだまだ人間が有利であると信じます。そう考えると楽しみです。

ここまで、お読みいただきありがとうございます。今年はどういう年かと考えていて思い付いたことと、それとともに思い起こしたことを忘れないうちにと綴っているうちに長くなりました。だからどうするのって話ですよね。

事象は違えども、これまでの大きな節目と同様に、もちろん今回も電子化等の変化に対応していきます。スキル・ノウハウを活用して効率よく申請手続等を行うことも従来と変わりません。それに加えて、皆さまの相談に、幅広い視点から、納得いくアドバイスをして差し上げられる事務所を改めて目指して参ります。それには、しっかりとしたリーガルマインドが欠かせません。各スタッフの研鑽にも期待したいと思います。

本年もよろしくお願い申し上げます。

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